世にも不思議な真冬の話

雑記

自宅のすぐ傍の『伝説の池』には、昔龍女が住んでいたという謂れがある。この龍女伝説は、川を渡ったお隣の市では山姥伝説として語り継がれている。

その昔、武芸の達人福富新蔵が、名月に誘われ2匹の犬を連れ山へ狩りに出掛けた。山頂まで登って行くと、突然犬達が狂ったように激しく吠え出した。あたり一面には異様な妖気が漂っており、そこには凄まじい形相の山姥の姿があった。新蔵が山姥に向かって矢を放つと、一天俄にかき曇り、風が吹き荒れ視界が閉ざされてしまった。ようやく静けさをとり戻した頃、山姥の姿は消えていたが、そこから点々と血の痕が続いていた。新蔵の矢に射抜かれた山姥の血痕を辿ると、それは新蔵の親友である小池与八郎の家の門で途切れていた。不審に思った新蔵が、与八郎に何か変わった事はないかと尋ねると、妻女が床に臥せっているという答えが返ってきた。2人で寝所に行ってみると、既にもぬけの殻となっており、そこには書き置きが残されていた。与八郎の妻女となっていたのは、川を越えた隣の国にある池の主である龍女だったのである。寝床から点々と続く血の痕は、その池のほとりまで続き、そこで途絶えていたそうである。

その池というのが、自宅の傍の池なのである。池の真ん中あたりには、小さな祠が祀られており、池の北側のほとりには、白蛇をご神体として祀るお社もある。だからと言って、夜叉ケ池の様な、昼間でも薄暗~い陰気な所とはちゃいまっせ。めっちゃ妖気!元い!!陽気ぴかぴか(新しい)一応、観光地だからね。

もう随分昔の事、遊び呆けて終電に乗り損ね、タクシーで自宅に向かっていた。市内に入り、自宅の詳しい場所を運転手さんに説明すると、「ああ、あそこですか。」と仰るのである。「え?○○○池をご存知なんですか?」と私。「以前、あそこの白龍さんに月に1度参拝に行っていた事があるんですよ。」と運転手さん。白蛇信仰をしている人というのも珍しいから、思わず、信者さんなんですか?と尋ねてしまった。すると、運転手さんは、俄には信じ難い様な話をして下さったのある。その運転手さんの奥さんは、不治の病に倒れ、「死にたくない、死にたくない」と言い続けながら亡くなったそうである。亡くなった奥さんの事を不憫に思いながらも、その運転手さんは奥さんの妹さんを後添いに迎えた。すると、程なく亡くなった奥さんが、恨みがましい様子で毎晩夢枕に立つ様になったのだそうだ。また時を同じくして、真冬だというのに、自宅の花壇のあたりに蛇が姿を現す様になったのだそうだ。本来ならばとうに冬眠している筈なのに。

少々気味悪く思った運転手さんが、評判の霊能者のところへ相談に行ったところ、「○○○池のほとりに白蛇を祀っているところがあるから、そこへ月に1度参拝しなさい。」と言われたそうなのである。霊能者のアドバイス通りにそれからしばらく参拝を続ける内に、前の奥さんが夢枕に立つ事もなくなったのだそうだ。これ、嘘の様な本当の話。

その話を聞いたのは、正に丑三つ時。思わず乗っていたタクシーの車内をキョロキョロ見回してしまった。だってね~、もし私の隣とか、助手席とかに誰か乗っていたりして、おまけに座席が濡れていたりなんかしたら…ちょっとまずくない?たらーっ(汗)

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