ラッキーマンの新たなる挑戦
8年前、マイケル・J・フォックスは、自身がパーキンソン病を煩っている事を公表した。このニュースを耳にした時は、昔ファンだっただけにショックだった。演じた役柄の所為もあるが、マイケルに対してはイマドキの陽気で妙に元気なアメリカの若者(本人はカナダ人ですが…)というイメージが完全に定着してしまっていた。だから、その彼と、同じくパーキンソン病に冒されたモハメド・アリがロスアンジェルス・オリンピックで見せた衝撃的な姿とをどうしても結び付ける事が出来なかった。
事の経緯は、マイケル自らが執筆した『ラッキーマン』に細かく記されている。大ヒット作『バック・トゥー・ザ・フューチャー』で一躍スターダムに上り詰め、やや天狗になっていた彼を襲った絶望感は壮絶なものだった。ひたすら病気を隠し続け、仕事を続けるために、震えを抑えるための脳の手術まで受けたのだ。なおも進行し続ける病状に自暴自棄になりながらも、家族や友人の強力なサポートを得て、遂には自分はラッキーだとまで言わしめたマイケル自身の強さに涙せずにはいられなかった。その後、マイケルはパーキンソン病の治療法の早期発見を目的とした『マイケル・J・フォックス パーキンソン病リサーチ基金』を設立する。この基金では、パーキンソン病の治療研究者に対しての研究開発費の援助も行なっているのだ。
近年、ES細胞を利用した再生医療の研究が様々な分野で進められている。パーキンソン病の場合も例外ではない。パーキンソン病は、脳内物質ドーパミンの分泌が不足することによって運動障害が生じる病気である事から、現在、ES細胞からドーパミンを作る細胞を生み出すという研究が進められている。既に人のES細胞に近いサルのES細胞からドーパミンを作る細胞に変化させる研究に於いては、かなりの高確率で成功が報告されているらしく、患者さん達にとっては希望の光となるのではないだろうか。
当然の事ながら、『マイケル・J・フォックス パーキンソン病リサーチ基金』も、この研究に多大な期待を寄せているに違いない。マイケル自らが、この研究を支持している民主党候補への支持を訴えるCMに、自身の病状をあからさまに曝け出す形で出演しているのだ。このCMはYou Tubeに投稿されており、現在閲覧可能だ。ES細胞研究に反対する保守派からは、そんなマイケルの行為に対して批判的な声が上がっているが、誰が敢えてそんな姿を曝したいと思うって言うのよ。かつての世界的なアイドルスターだった人間にとっては、普通なら屈辱的な事に違いないだろうに…。私はマイケルの強い信念と勇気に拍手を送りたい![]()
ES細胞研究に倫理面でただ異を唱えるだけではなく、その問題を如何にクリアし難病で苦しむ人々に救済の手を差し伸べる事が出来るかという事をまず考えて欲しいと海の向こうの一般市民は思うんですがね…。





