崖っぷち犬の光と陰

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先週メディアを大いに賑わせた『崖っぷち犬』。飲まず喰わずの状態でコンクリート防護壁内で立ち往生してしまい、哀し気に鳴く姿は全国の動物好きの同情を一身に集め、その救出劇は民放各局によってこぞって中継された。

無事に保護された犬には飼い主希望者が殺到しており、良い飼い主に巡り会う事さえ出来れば、安穏な日々が約束される事だろう。生まれながらの野犬の習性で、保護された直後は人間を警戒して与えられた水すら飲もうとしなかったのが、今では人が見てさえいなければ餌もぺロリと平らげる様になったらしい。

あまり詳しくは報じられていないが、今回の出来事に関連する裏事情を鑑みると、一件落着、めでたし、めでたし…とここで終わりにしてしまっていいものとは思えないのだ。今回の舞台となった徳島県では、昨年約2800匹の野犬が捕獲され、その殆どが処分されている。『崖っぷち犬』が迷い込んだ防護壁の上部や近辺にも野犬が多数棲息しており、近辺の住民から通報がある度捕獲されているという。心配そうに救出劇を眺めていた近所の住民の一人は、マスコミのインタビューに答えて、『崖の上に沢山野犬がいるんですけどね、噛まれたりする心配があるから、早いとこ捕獲して欲しいですね。』などと宣うておいでじゃった。あの~、早く助けてやってとあなたが心配そうに見守っている『崖っぷち犬』もその野犬の内の一匹なんですけどたらーっ(汗)

穿った見方をすると、『崖っぷち犬』は、防護壁に迷い込んだお陰で命拾いをしたと言えなくもない。そうでなければ、他の野犬達と一緒に捕獲されて処分される運命にあったかもしれないのだ。野犬達は何も好き好んで自ら野犬になる道を選んだ訳ではない筈だ。元はと言えば、身勝手な人間達に捨てられてしまったがために、野犬として生きて行かなければならなくなってしまった筈だ。それでも生き延びる事が出来る野犬はまだましかもしれない。再び人間の手によって捕獲され、その命までも奪われてしまう事に比べれば…。

『崖っぷち犬』にスポットをあて、美談に仕立て上げて騒いでお仕舞いじゃ駄目なんだけどな。可哀相な犬を助けてあげたいと引き取りを希望している方々も含めて、全国の動物愛護センターに保護されている他の犬達の状況も何ら変わりはないのだという事を忘れないで欲しいんだけどな…。

諸事情により犬を飼う事が出来ない犬好きもうやだ〜(悲しい顔)の独り言ですが…。

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